プロのカメラマンが教える!初心者向けの一眼レフ基礎知識講座

こんにちは!一眼レフ初心者、デザイナーのマエノです。

前回の「ちゃんとした大人に聞いてみた」シリーズ 熱燗のいろんな温め方を酒屋さんと検証してみた では、ピントが合っていなければ色も潰れているという散々な写真をお披露目したわけですが…。

このままでは流石にいかんやろ。いっそのこと、プロのカメラマンから直接ご教示いただきたい。

 

 

直接ご教示いただけることに

181218_01フリーランスカメラマン 菱田 雅之さん

「コミュ力が鬼高い」「高校・大学をアメリカで過ごした」「アートを勉強し、制作会社で働いていた」「TOEICで870点を叩き出した」「丁寧で説明上手」という、ハイスペックが歩いちゃったかんじのちゃんとした大人。

卒業祝いにカメラが贈られ、友人の影響もあってカメラを始める。制作会社や趣味の範囲内でコツコツ腕を磨き、現在に至る。

Instagramを見る ▶ @hissystudio

 

 

取材当日は、南船場にある撮影スタジオ「Hissy Studio」にてお話を伺いました。
スタジオ内には、ガチのライトやガチのバック紙、そしてちょっと小突くだけで人間を病院送りにできそうなガチのカメラ(70万)があって、変な汗が出ました。

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初心者におすすめの一眼レフ

さて、一眼レフといっても種類はたくさんあります。何を買えばいいのかわからない…という方向けに、菱田さんがオススメのカメラを2つ教えてくれました!

 

とりあえず撮ってみたい人向け / Canon EOS Kiss X9

約55,000円と、手頃な価格の小型カメラです。ボディが軽くて女性でも楽ちん!レンズとセットのスターターキットなどもあり、入門機として有名なカメラです。

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頑張って勉強していきたい人向け / Canon EOS 6D MarkⅡ

約150,000円で、フルサイズセンサーの中でも比較的安めの価格です。初めてだけど、結構本気で頑張っていくぜという方にはぴったりです。

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「フルサイズってそんなに良いものなの?」と、イマイチ特徴がわからない人は、ひとまずは「写真に収まる範囲が他とこれだけ違うんだ」という感覚だけ掴んでおきましょう。

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一眼レフ特有の背景のぼかしは、このセンサーの大きさに比例して範囲が広くなります。故に、携帯電話のカメラではセンサーの範囲が非常に狭いため、一眼レフのように背景がぼけて写りません。

そういえば、最近のiPhoneでは「ポートレートレンズ機能」によって、一眼レフ風の撮影ができるようになりましたね!でも今述べたセンサーのサイズ問題があるため、これは光学的に自然と生じたぼかしではありません。つまり、電子的に後から付け加えられたものです。

写真に興味がある方!当然ですが「携帯でカメラっぽく撮れるから」といって、本物のカメラを諦めるのは非常にもったいないですよ!

 

 

カメラの基礎知識

カメラにはたくさんの専門用語があります。でもとりあえずは、以下の6つだけ覚えましょう!

露出カメラに取り込まれる光の量
シャッタースピードシャッターを切る速度
絞り(F値)光が入る入り口の穴の大きさを数値化したもの
ISO(感度)シャッタースピードと絞りだけでは暗い時にいじる、ドーピングのようなもの
ホワイトバランス光源の環境によって変化する白色を補正し、理想の色温度にするための機能
オートフォーカス(AF)ピントの焦点を自動で合わせる機能

 

 

シャッタースピードの定め方

まずはじめに、シャッタースピードとは「シャッターを切る速度」のことなのですが、具体的に速いのと遅いのではどう違うのでしょうか?「動いているもの」を撮影するシーンを想像してみるとわかりやすいです。

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このように、動いているものを撮る際はシャッタースピードを速くしないとブレてしまいます。故に、走っている車をブレずに撮るには、シャッタースピードもかなり速めに設定する必要がある…というわけです!

 

 

絞り・シャッタースピード・ISOを用いた明るさの調整方法

露出は絞りとシャッタースピード、双方のバランスをとって調整します。そして、それでも足りなかった場合にのみISOで明度を加えていきます。

 


光に関する一連の知識は、理解するまでとても難しいと思います。そういえば「蛇口」に例えられた例が有名ですね。

 

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ホワイトバランスで色温度を補正

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画像のように、カメラには「オート」「太陽光」「白熱電球」などと、撮影時の環境に沿ってホワイトバランスを設定することができます。

例えば、電球の光はオレンジがかったあたたかみのある色をしていますよね。したがって、部屋の光源が電球の中で写真を撮ると、撮った写真自体もオレンジがかった色味になってしまいます。そんなときにこのホワイトバランス設定を「電球」に合わせると、本来の白色に近い色味で撮影してくれる…というわけです!

 

 

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ちなみに、ホワイトバランスとは関係ないけど、ストロボを駆使するとこんな感じで撮れます。

 

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急にめっちゃすごなった。

 

 

撮影モードの種類

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初心者向けモード

A+[シーンインテリジェントオートモード]カメラが撮影シーンを解析する、最も簡単な全自動モード
CA[クリエイティブオートモード]ピントの範囲・ドライブモード・雰囲気等を簡単に変更できる
SCN[スペシャルシーンモード]CAよりもシーンや雰囲気に合わせてさらに細かく設定できる

 

中級者・上級者向けモード

P[プログラムAEモード]シャッター速度と絞り値が自動で設定される
Tv[シャッター優先AEモード]絞り値が自動で設定される
Av[絞り優先AEモード]シャッタースピードが自動で設定される
M[マニュアル露出モード]すべての設定を自分好みに設定できる
B[長時間露出(バルブ)モード]夜景や花火などを撮影する際に活用するモード
C1、C2[カスタム撮影モード]他のモードで設定したAF動作やメニュー機能等をこの2つに登録できる

 


僕個人の意見やけど、一眼レフを買ったからには、ずっと初心者モードってのは本当にもったいない!最初からP[プログラムAEモード]で徐々に慣れていくのがオススメです。

 

 

扱う上での注意点

カメラを構えるときは脇をしめる

脇を開いたまま撮影するとカメラが安定せず、手ブレの原因につながります。両足も肩幅ほどに開き、体全体でカメラを支えるよう意識しましょう。

片手で持たず、レンズに手を添えて両手で構える

手ブレを防ぐのも勿論ですが、何よりカメラを落とすなんてもってのほか!撮影時は決して片手で持たず、両手で大事に持ちましょう。

レンズフードは必ず付ける

レンズフードは物理的にレンズ自体を守ってくれるのに加え、余分な光を遮ってくれます。絶対に付けましょう!

マナーを守る

当然のことでありながら、案外忘れがちなマナー。三脚を置いてはいけないところに置いたり、肖像権の侵害どうこうが生じたり…。写真の技術に直接結びつくものではないにしろ、土台となる重要な決まりごとなので、常に意識するよう心がけましょう。

 

 

お手入れのやり方

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カメラのお手入れには、この2つさえあれば大丈夫です!左の布はレンズを傷つけない専用のもの(セーム革などが有名)。右の手榴弾みたいやつはブロアーといい、これで空気を吹きかけてホコリを飛ばします。

また、風のある屋外や移動の最中にお手入れをするのは危険です。逆に砂やホコリが入ってしまう恐れがあるので、可能な限りは室内で取り掛かりましょう。自分の衣服の繊維にも注意!

 

「MENU」 > 「センサークリーニング」 > 「今すぐクリーニング」

センサークリーニングとは、センサー部分に微振動を起こしてホコリを落とす機能です。ついでに「自動クリーニング」を選択して、電源ON・OFF時に毎回自動で行うように設定しておきましょう。

プロテクターフィルターを掃除

プロテクターフィルターとは、いわゆる保護フィルターのことです。取り外してブロアーで空気を吹きかけ、布で優しく拭きましょう。

専用の布でレンズの前玉(フィルター側のガラス面)を掃除

プロテクターフィルターを外し、レンズの「前玉」をブロアーと布で掃除します。当然ながら、手で直接触れるのはNGです。拭き取り時も傷つかないよう、優しく丁寧に!

たまにはレンズの後玉(センサー側のガラス面)も掃除

レンズ本体を取り外すと現れる「後玉」はとってもデリケートです!ここに汚れや傷が付くのは致命傷なので、毎回お手入れする必要はありません。また、掃除の際も布や手では触れずに、ブロアーで空気を吹きかけるだけにしましょう。

「MENU」 > 「センサークリーニング」 > 「手作業でクリーニング」

「手作業でクリーニング」を選択するとミラーアップと呼ばれる部分がカシャコンと開くので、そこもブロアーで空気を吹きかけます。しかし、ここもめちゃくちゃ大事な部分なので絶対に触らないように!また、この作業もたまにする程度で大丈夫です。

 

 

 


以上で初心者向けのカメラ講座は終了です!
結構なボリュームですが、実はこれでもまだまだ足りないぐらいなのです。

写真撮影においての正解は一つだけではないため、カメラはとても奥が深いです。設定の組み合わせパターンも膨大な数のため、その分の知識や体感などを得ていくには、相当興味がある人でなければすぐに限界を感じることでしょう。

 


まずはカメラを好きになって、「もっと知りたい、上手になりたい」と思うことが第1ステップですね。

 

また、がっつりコツを勉強してから撮り始めるよりも、まずは必要最低限の知識だけでもいいので、とにかくどんどん撮っていくのがオススメだそうです!

 

 

以上、閲覧ありがとうございました!
少しでもカメラ上達への手助けになれば幸いです。

菱田さんのInstagramを見る ▶ @hissystudio

 

「ちゃんとした大人に聞いてみた」シリーズ 一覧

 

 

 

おまけ:やっぱりプロは凄いよ

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せっかくなのでカメラマンっぽいシーン撮ってもらおっかな!電気も消してみましょうか。


えっあっ、おっ、はい!(やべー!やべー!)

 

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かっこよく撮れた?笑 どんなかんじ?


あの、ほんとすみません…。面白いぐらい下手くそです。


えっとね、これはここをこうして…ほんでこうで…1…2…3…まだかな…もーちょい…あと1…や、もう1かな〜(プロ感の強いつぶやき)


ほい、この設定でもうちょっと前来て撮ってみて〜!

 

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ン〜〜〜!?


そして俺が入ってー…

 

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ん!?…………ん???ん〜〜〜?????


ほんで、もうちょっと寄りで撮るとー…

 

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……いや…これ………マジの「写真」やん………

 

「神を畏怖する」って、こういう感覚なんですね。