Date: 2018/08/13

ECサイトの作成 WelcartとEC CUBE3どっちを選べばいいの?

こんにちは。後藤です。

WelcartとEC-CUBE3。どちらも国産の無料のカートシステムで、
小中規模のECサイトを作ろうとする場合の選択肢になることが多いこの2つ。
今回は、その2つを比較してみたいと思います。

Welcartとは

ec-system_img02

世界でトップの圧倒的シェアを誇るWordPress専用ショッピングカート(WPプラグイン)として、2009年にリリース。以来、国内ECプラグインシェアNo1の実績があり、使用者の声を取り入れながらアップデートを重ね、現在16,000以上のサイトで稼働中です。

プラグインとして無料で導入でき、複雑な機能などいらないECサイトなら比較的簡単にスタートすることができます。

ECサイト構築プラグインWelcart ショッピングカート for WordPress

EC-CUBEとは

ec-system_img03

EC-CUBEは、株式会社ロックオンが開発し、2006年に提供が開始されたECサイト向けのオープンソースCMS。こちらも無料で利用できることに加え、日本で開発されたCMSなので、日本語対応だけでなく機能や操作性の面での扱いやすく人気があります。
Welcartと違う点は、プラグインではなく単独でECサイトが構築できます。

※オープンソースとは、一般に公開され誰でも自由にそのソースコードを使用・改良・再配布できるソフトウェアのこと。

ECオープンプラットフォーム EC-CUBE

EC-CUBE3とWelcartの主な機能比較

ec-system_img01

※上の表はすべての機能を比較しているわけではありません。ほかにもたくさん機能があるので詳細は各システムの機能一覧ページをご参考ください。

Welcart機能一覧
Welcartの拡張プラグイン

EC-CUBE機能一覧(3系)
EC-CUBEの拡張プラグイン(ストア)

※1  Welcartのお気に入り機能は、「WP Favorite Posts」というプラグインを使うことで実装できます。
このサイトによれば

お気に入り登録したい際のデータは、ログインユーザーに関してはデータベースに保存、そうでない場合もCookieを利用するというタイプなので、会員を持たないようなサイトでも使うことは可能です。 ただ、Cookieを使用する場合、例えば「この記事は○人の方にお気に入り登録されています」というようなものを表示させたい時は正確な数が出せなかったりもするので、そういったコンテンツを正確な数値で管理・表示したい場合などはログインユーザーを用いたほうが良いと思います。

WordPress:お気に入り登録機能を実装できるプラグイン「WP Favorite Posts」 | NxWorld

とのこと。
上で紹介されているログインユーザーとは、Wordpressのログインユーザーのことなので、
Welcartで使う場合、ログインユーザーとショップ会員は紐付いていません。
なので、Welcartのお気に入り機能はCookieを使うことになるので正確な数がとれないかもしれません。

どちらのカートシステムもプラグインで機能を拡張でき、うまく活用すれば独自のショッピングサイトを構築できます。ただし、WelcartのプラグインはEC-CUBEに比べて種類が圧倒的に少なく、有料となる場合が多いので、予算が限られていたり、自身でカスタマイズできるスキルをお持ちでないとあまり向かないかもしれませんね。

Welcartの特長

02_itemmaster_01

管理画面はしっかり作り込まれいて、商品や会員管理といった面で運営するには申し分ないのですが、システマチックなデザインで作られていて見た目がちょっと古いのが残念です。レスポンシブ対応もされていません。ページ管理とEC機能が混在するので、仕方ないのかもしれませんが管理メニューが見にくい印象があります。
ただ表示速度においては、サーバースペックによるけど小・中規模程度であれば、わりとストレスなく表示できている思います。

機能性

EC-CUBEに比べて標準搭載されている機能は少ないけど、物販に必要な最低限の機能は十分に備わっています。機能性が高いと言うより、WelcartでできることはEC-CUBEでもできるといった感じです。

拡張性・カスタマイズ性

WordPressのプラグインということもありPHPがベースになります。
日本語のドキュメントやカスタマイズ事例など豊富に紹介されいますし、 普段からWordpressを使い慣れている方は、すんなりカスタマイズできるんじゃないかなと思います。またフロント画面において、他のWordpressのプラグインをうまく利用することでECサイトとして作り込みもできます。

SEO

WordPressのSEO対策プラグイン「All in One SEO Pack」を使うことで、
「タイトル」を最適化し「ディスクリプション」と「キーワード」を商品ごとに個別に設定できます。
加えて、もとよりWordpressなので「固定ページ」を使った特集ページのようにSEO的なコンテンツが作りやすく、プログを併用できるのでSEOの観点からサイトの強化、施策が行いやすいです。

その他

Welcartの商品管理はちょっと癖があり、商品データはpost(投稿記事)が使われています。
導入すると自動的に「商品」カテゴリが作成され、登録された商品はすべて「商品」カテゴリに紐付けられる仕様なので、ECサイトでブログを同時に運営する方は、記事の管理方法や記事一覧で商品が表示されないように工夫が必要となります。また、商品画像は「メディア」で管理されるようです。

EC-CUBEの特長

使用感

02_itemmaster_02

EC-CUBE3からレスポンシブ対応となり管理画面も洗練されていてとても見やすい印象です。
もちろんECシステムに特化されいるので、商品・会員管理などの管理メニューも見やすく使いやすいです。

表示速度は、EC-CUBEは重い、遅いとよく聞きますが、PHP7とNginxを利用して、小・中規模の通常の物販に使った感じだとあまり気になりません。
ただし、インストールされたプラグインの数や商品点数や規格によって大きく左右されるので一度テストし検証してみることをおすすめします。

※「Nginx(エンジンエックス)」とは、近年急速にシェアを拡大しているWebサーバーです。HTMLドキュメントや画像ファイルといった静的コンテンツを高速で配信し、消費メモリが少ない注目の軽量Webサーバー。

機能性

「お気に入り機能」や「配送先の複数登録」といったマイページの機能も充実していて、ユーザーに優しい設計になっています。また、上の表に記載されている以外にも、フロントの機能のほか、管理面以外に固定客をつかむための機能が標準搭載されている機能が多いです。

拡張性・カスタマイズ性

Welcartに比べて無料プラグインが豊富にあるので、システムをカスタマイズすることなく本格的なECサイトを開設できます。ただ、大体のことは無料プラグインを利用することで解決できますが、特殊な要件をクリアするには有料プラグインを使うか、独自でカスタマイズする必要があります。これは、Welcatも一緒なんですが、Welcartと違ってEC-CUBE3では「symfony」というフレームワークが使われているので、「symfony」を理解していないとPHPの知識だけではカスマイズが結構難しいです。大抵の方はここで断念する方は多いのではないでしょうか。

SEO

デフォルトの仕様でタイトルは「店名|商品名」となってしまうのでSEO的に不利になります。商品に対して個別にディスクリプションも設定できません。
そういった理由で、タイトル周りのカスタマイズと、商品ページに対しての内的SEOの施策は必須となります。
また、これは人によって見解が違うかもしれませんが、特設ページのようなSEOコンテンツのページを作る場合、Wordpressのようにテンプレートがあるわけでないので作りづらい印象を受けます。

その他

EC-CUBEでは「お知らせ一覧」のような、時系列にそった記事一覧ページを生成するブログ機能がありません。外部のCMSを利用する必要があります。
外部CMSとEC-CUBE連携には、テンプレートをカスタマイズして連携がすることも可能ですし、スキルがない方でも有料プラグインで対応できるので安心です。

まとめ

以上のことから総括すると、

そこまで機能にこだわらず、規模が比較的小さめなECサイトは「Welcart」。
機能性も求め予算をお持ちで本格的なECサイトを始めたいなら「EC-CUBE」。

になるかなと思います。
とはいっても、Welcartを選択することは少ないような気がします。
Welcartで一番気になった点は、機能面の少なさと商品データがpost(投稿記事)で管理されることです。
テンプレート側での情報の出し分けだったり、中長期的な視野で見たとき、機能面でクライアントとユーザーのニーズにどこまで答えられるか不安な所があります。

SEO的に不利と言われるEC-CUBEですが、わり簡単なカスタマイズでタイトル・メタタグ周りは解消できますし、カテゴリページの作り込みや、商品ページの工夫次第ではある程度クリアできるのではないでしょうか。プログやページ作成機能に関しても、WordpressとEC-CUBEを両立することでお互いの利点を生かした方法もあるので、そこそこ予算があり、管理画面が分割されるのが問題ないのではあれば、WelcartにこだわらずEC-CUBEを使いたいと思います。

後藤紳也

この記事を書いた人

元美容師でありながら、デザイン業界への転身を果たすため、独学でWebを猛勉強。谷川の最初の相棒として、AND SPACEの草創期から会社を支え続けてきた。基本的に心穏やかな食いしん坊キャラで、「ゴッちゃん」もしくは「ゴトさん」の呼び名で親しまれる、うちのWe部の番人。無駄のない、丁寧で美しいソースコードに誰もが一目を置く。その安定感とクオリティは、社内外からの信頼の厚さにもつながっており、巷では彼を「後藤大明神」と呼ぶとか呼ばないとか…。ご鎮座されるその席に、ニ礼二拍手一礼。