Date: 2021/01/26

「本を強制買取させられるサービス」Vol.5
テーマ「The・本」

「本は値段以上の価値がある財産」そう話すAND SPACE 谷川と、「人々に本の価値を伝えるのが仕事」と熱く語る西日本書店 重永さんが

「本離れが進む昨今だからこそ、本の面白さや楽しみ方をどうにかお届けできないだろうか」

と考え、企画した「本を強制的に買取させられるサービス」もVol.5となりました。
今回はどのような本と巡り会えるのでしょうか?

ルール説明

・AND SPACEが本のテーマを提示
・次の回までに重永さんがセレクトした2冊を、AND SPACEにプレゼン
・AND はどちらか1冊を必ず買取らなければならない
・選ばなかった本は永久に買うこと、読むことができない(他店で買うのもNG)

今回のお題は「The・本」

満を持して登場した和田が出したお題、「The・本」。
抽象的すぎて難しいと思われるお題ですが、重永さんは一体どのようなプレゼンで挑むのでしょうか?

登場人物


株式会社AND SPACEの取締役代表:谷川 毎朝社員に健康運動を強要する。


株式会社AND SPACEのディレクター兼ライター:和田 健康体操が苦手すぎて毎日泣きながら運動をしている。


西日本書店:重永 毎朝ラジオ体操を行っているのですこぶる元気。冬でもタンクトップ。

Start!


ちょっと諸事情で重永さんが行方をくらましていましたが…。


2ヶ月ほどね、ちょっと旅に出てました。


あはは。失踪(笑)


ホント困りましたよ、ポケベルが繋がらないなんて。


はは。そもそもポケベルで連絡を取るなよって話ですけどね。


あはは(笑)


今回のお題が結構ざっくりしてるのでね、反論したら良かったなって言われた2時間後に後悔しました。


私のお題から逃げ出したいっていう思いから失踪に…。


あはは、なるほど。じゃあ今回はお題を出した後、質問OKにしましょう!


僕からね。やってみましょうか。

1冊目


「The・本」って言うと、ストレートに”本を紹介している本”でもいいのかなと思ったんですが、「あぁコイツ置きにきたんや」という感じになるんじゃないかと。


一周オブザイヤーみたいなね。


そう。なので今回は違う形で、一冊目はこの本をご紹介します。『ブック ザ シンプソンズ』です。

▲黄色の装丁が目を引く『ブック ザ シンプソンズ』。著者の『シンプソンズ』へのリスペクトを感じます。


ほう。


これ本当はもう少し長いタイトルなんですが、僕が勝手にギュッとして『ブック ザ シンプソンズ』にしてます。中身みていただければ分かるんですが、『シンプソンズ』に出てくる、“本が登場するシーン”だけを集めて一冊にした本なんです。


あははは(笑)


何の価値があるんやって感じの本なんですが、出てくる本が実在するものか、実在する本のパロディかのどちらかなんですよ。一応巻末にカタログみたいな感じで出てきた本のタイトルが全部羅列されているっていう。


渋いな。しかも細かいのが、装丁を『シンプソンズ』っぽい黄色の紙に印刷してるっていうね。


すごいし、シンプルにかわいい!


かわいいですよね。ゆるいけど、ちゃんと”本を紹介している本”というところで、「The・本」といえるのではないでしょうか。


なるほどね。ちなみに「A FINAL COMPANION TO NEW,UPDATED EDITION」って書いてるから、新装版か。

▲あれ、背表紙が汚れてる…!?


これ、背表紙汚れてるのってなんでなんすか?


これは、ステインっていうインクを使っていて、紙も特殊なんで少し滲んで出ちゃうときがあるんですよね。


海外だと滲んだものが流通するのはスタンダードなんですかね?


そういうわけではないんですけど、それ以上に本の中身が素晴らしいので、そのまま出版してるって感じです。きれいな状態のものは国内にはほぼないですね。そういう背景も含めて、この本を持ってきました。


汚れとか傷も、紙の本ならではやね。まさに「The・本」ですな。


ですな。

2冊目


では2冊目に参ります。2冊目は、「The・本」の「The」って一体何だろうと考えまして。他に「The」って使われているものに置き換えて考えたりしましたよ、「The・映画」といえば「スターウォーズ」とかね。あとは、「The・アメリカ」やったらコカ・コーラ、ディズニーみたいな。


ど真ん中の超王道って意味でね。


そうですね。本で考えると、文字・文章・活字でしょ。ということで、『文体練習』を持ってきました。

▲フランスの詩人・小説家レーモン・クノーによる究極のことば遊び『文体練習』


存じあげてます。


「存じあげてます」?


はい、好きです。


え、「好きです」!?まさかもう読んだ?


ですね。ただ、今回選ぶのは和田なんで。


ぎりセーフですね。


第5回目にしてさっそく的中するっていうね。せめて3桁いってからがよかったですけれども。


今回選ぶのが私でよかったです(笑)


いやほんまにね。さてこの『文体練習』ですが、文字とか活字をいじくりまわして遊びたおしてて、めっちゃ面白い。さっきの文字とか活字っていう部分でいうと、そこをいじくりまわして遊びたおしてる本で、未来にも残したいと思うぐらい価値は十分にあります。


名著ですね。


この本に関しては、谷川さんも提案側ですね。心強い。


今回だけね!ちょっと目を通してもらいましょうか。


はい。


ワンシーンを99通りの文体で書いてるんですよ。


へぇ〜。


一人称に変えたり、三人称に変えたり。対話文でやったりとか。


寓話的に書いてみたりとか、いろんなバリエーションがありますよね。あと、この本って海外の方の翻訳本なんですけど、後ろ半分ぐらいが全部あとがきなんですよ。僕の勝手な解釈ですけど、そこも本の価値をぶっ壊していて面白いなと。


ん〜なるほど。文字が斜めになってるページとかあるんですね!遊び心があっておもしろい。

▲こんな風に文字が斜めに。


ちなみに、これの漫画版で、『コミック文体練習』っていう本があるんすよ。


どんなん?


例えば2人が会話しているシーンだったら、一人称や三人称の場合でコマの視点が変わったり。あとは画風。ギリシャ風、ヨーロッパ風、エジプト壁画風とか。


『文体練習』の派生形かもしれないですね。『文体練習』は読んだら割と感動がありますよ。


どう捉えてどう使ったらいいか分からないけど、すごく大事なことが書かれている気がするっていう本ですね。ではそろそろ、提案される側に戻ります!


ありがとうございました!いやぁ、2対1のパターンのあるんですね。


今回谷川がお題を出してたら、速攻終了で尺が足りないところでしたね。


僕、この企画やるようになってから、ちょっと面白そうだなって本は買わないようにしてるんすよ。


被っちゃいますからね。


気遣ってくれてる(笑)


まあね。ところでお値段っていくら?


『ブック ザ シンプソンズ』は汚れがあるので2,200円と少し安いです。『文体練習』は3,398円。

▲左:『ブック ザ シンプソンズ』2,200円(税別) 右:『文体練習』2,500円(税別)


はい、決まりました。


早い。すっと決まる感じですね。


断然、『文体練習』ですね。


なぜ?


自分なりに「The・本」って何やろなーって考えたんですけど、「本=文字」だなと思って。で、文字って学ばないと読めないじゃないですか。もしかしたら重永さんが国語辞典持ってくるんじゃないかと思ったりしてました。


国語辞典て。重永さんもそこまでダサないよ!


あはは(笑)


はは。つまり、「本=文字」をひねった感じの『文体練習』のほうを選んだわけですね。


まあ、普通に王道という意味の「The・本」であれば、『聖書』ですもんね。


ですね。ただ、今回は解釈を広げて、『ブック ザ シンプソンズ』と『文体練習』を持ってきました。


じゃあ、最後はあのフレーズで締めますか。


はい。では、僕から和田さんに振りますね。「今回は」…!


『文体練習』をご購入させていただきます!


ありがとうございます。


丁寧な言葉づかいやね。いつも「買取りさせられました」って言ってるわ。


なんせ企画のタイトルが「本を強制買取させられるサービス」ですからね。

▲「The・テーマ」に選んだ『文体練習』を買取る和田さん


さて!次のお題ですが!


いってみましょう!


生き生きしてるなあ(笑)


実は3つ4つ考えたんですよ。ほんで重永さんに選ばしたろかなって。


たち悪いな(笑)


そう思ったんですけど、ちゃんと決めてきました。今回の「The・本」に続くテーマとしてずばり、「本の概念を壊しにきてる本」。


うわぁ〜。


なるほどね。


ポイントは、「概念を破壊しつくした」じゃなくて、「概念を破壊しにきている」ってとこ。最近、価値観を破壊するとか、見たことないものを見るっていうことにどはまり中なんで。


貪欲になってるんですね。


そうなんですよ。もっと新しい世界が知りたくて。テーマで分からんことある?


質問コーナーですね。


いやあ〜、まずは自分でテーマの本質を探りながら、谷川さんの期待を超えないとダメなんでね。


重永さんが僕の中の破壊の境界性を超えてくるのか、あるいは…。あ、これ以上しゃべらんといてほしいでしょ?


あははは(笑)


お茶飲んで落ち着きたい気分(笑)まあでも、今回の「The・本」よりは気が楽というか。


失踪しないで済みますね。


そうですね。


次回の開催は年明け1発目ですけど。


プレッシャーかけんといてください。


ただただ事実を言ってるだけです(笑)


まあそうなんですけどね…。


楽しみにしてます。それでは、本年もありがとうございました。


こちらこそ。来年もよろしくお願いします。


以上、AND SPACE 谷川でした。


同じく、和田でした。

]


西日本書店 重永でした。


今回の本に興味を持っていただけた方は、西日本書店さんに足を運ぶか、AND SPACEにお越しくださいませ。

西日本書店さんのホームページはこちら

バックナンバー


Vol.1「創作意欲が湧く本」


Vol.2「価値観を変えてくれる本」


Vol.3「科学または数学の美しさに触れられる本」


Vol.4「中身が空っぽの本」

MILK

この記事を書いた人

パッと見は、「不思議の国」から飛び出してきたおバカキャラや、おませなギャルに見られがち。だけど本当は、誰かを支えることや誰かの役に立つことが上手な、目配り・気配り・心配りの国のアリス。その献身的な姿勢は、高校野球のマネージャー、メイドカフェ店員、下着メーカーの社長秘書、BAR AND SPACEのバーテンダーを経験してきたからこそ培われたもの。バーテンとして入社してから約3年。制作現場へコンバートしたmilkは、変わらずみんなのマスコットであり、結局カワイイもの全般に目がない、軟体あおによし。