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Date: 2018/12/20

以和為貴 〜和を以て貴しと為し〜

 

お初にお目にかかります。

AND SPACEの「渋男」こと、コピーライター兼ディレクターの橋田です。

この秋の入社から程なくして、あろうことか、

話が長い奴、回りくどい奴、めんどくさい奴、古くさい奴とのレッテルを貼られてしまいました。

(いたしかたなし・・・)

 

こいつらをさっさと剥がすか、じんわり剥がすか。

うん? そもそもレッテルって剥がせるものなのか・・・。

こびりついてちゃんと剥がれないかも、跡だけ残ったらどうしようと、

ビクビクしている32歳の小心者です。

 

仏教・寺院業界の専門紙を手がける京都の会社で10年近く

取材記者(勝手な通称:おてライター)を続けてきた私が、

「他業種の評価も聞いてみたい」といっちょ前にFA権を行使して、

大阪天六のAND SPACEに移籍してから2ヵ月と半分。

初めてのブログ当番が回ってきました。

 

・・・・・・・さ・・・て・・・・・ど・・・な・・・い・・・し・・・よ・・・・・・・・

 

よし、決めた。ここは思いっきり、

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せっかくなら、「読むのしんどーい」って上司から文句言われるくらい堅苦しいテーマで、

とことん回りくどく書いてやろうと企んでおります。

いわゆるひとつの、強行策ですね。

 

ご親切に最後までお読みいただいた皆さま方にも、貼りたくなるレッテルがきっとある。

 

そんなことは覚悟の上です。

どうぞ、「針(貼り)のむしろ」にしてください。

 

 

※のっけからすでに話が長いってば・・・(@堀岡専務)

 

 

大阪の寺院数は全国第2位!

日本全国にあるお寺の数は、ざっと77000軒。

これ、コンビニの数よりも圧倒的に多いんです。

お寺と言えば、観光名所の多い京都や奈良をイメージする人が多いと思いますが、

都道府県別の寺院数ランキングでダントツの1位は愛知県。

次いで、ここ大阪府が第2位にランクインしています。

お寺が身近にある街、それが大阪の風土や文化にも大きな影響を与えているんです。

 

大阪を代表する古刹「四天王寺」

人情のまち大阪を代表するお寺に、日本仏法最初の官寺である四天王寺さんがあります。

地下鉄谷町線「四天王寺前夕陽丘駅」を降りて徒歩約5分。

西側の入山口「石の鳥居」が参拝者を出迎えます。※神仏習合のなごりを実感・・・

 

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駅や区の名前でお馴染みの「天王寺」は、この四天王寺が語源であり、

歴史の授業で学んだぞって人も多いのではないでしょうか。

 

西暦593年に開かれた四天王寺は、日本で最も古い建築様式のひとつを今に伝えています。

中門・五重塔・金堂・講堂が南北に一直線に並び、その周りを回廊がぐるりと囲む伽藍配置は、

同時代の中国や朝鮮半島の寺院によく見られる建築様式。

仏教伝来から間もない時期にできあがったことを、物語っています。

 

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今から1400年以上も前に、この四天王寺を創った人こそ、かの有名な聖徳太子さまです。

「徳のある聖なる人」で、聖徳太子。

本名ではなく、亡くなった後に付けられた尊称ではありますが、

日本を代表する偉人に相応しい名前やなと、当時のネーミングセンスに感服する次第です。

 

聖徳太子がなさったこと

さてさて、四天王寺を開いた聖徳太子ですが、何をされた偉人かご存知ですか?

「摂政」として推古天皇の政治を支えたとか、身分制度の「冠位十二階」を制定したとか、

遣隋使」を派遣したとか、社会福祉事業の始まりたる「四箇院」を設立したとか色々ありますが、

 

なんと言っても、「十七条憲法」の制定が一番多くの人がピン!とくる功績ではないでしょうか。

 

西暦604年に聖徳太子がつくった「十七条憲法」は、日本初の成文法です。

現在の日本国憲法とは若干テイストが異なり、

当時の役人や豪族たちに向けて心構えや行動規範を示すためのものだったそうです。

 

腑に落ちる、ハイブリットな中身

国をまとめあげ、他国と対等に渡り合うためには、

内輪の権力闘争ばかりに明け暮れる豪族たちを“どないかしないかん”と言う訳で、

聖徳太子は17条からなる精神的マニュアルを発表しました。

 

その中身は、仏教・神道・儒教の思想をまんべんなく掛け合わせた“ハイブリット”なもの。

1400年以上経った今でも、会社や学校などの組織の中にいる人なら、

「お太子さまの、おっしゃるとおり!」と、腑に落ちる内容が満載です。

 

(そりゃ当然、長い間、お札の人物だっただけあります)

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サビからはじまる十七条憲法

「十七条憲法」で特に有名なのが、出だしの第一条。

歌で例えるなら、

クリスタルキングの『大都会』

ピンク・レディーの『ペッパー警部』

鈴木雅之の『もう涙はいらない』

L⇔Rの『KNOCKIN’ ON YOUR DOOR』

みたいに、いきなりサビからいきます!って感じです。

 

一番言いたいこと、聞いてほしいとこは、ここだ。

(おそらく)そんな思いで聖徳太子が書いたサビが、こちら↓

 

以和為貴 無忤為宗 人皆有黨 亦少達者 是以或不順君父

乍違于隣里 然上和下睦 諧於論事 則事理自通 何事不成

 

漢字ばっかで、なんのこっちゃ分からないですよね?でも大丈夫です。

 

第一条の中でも見ていただきたい、知っていただきたいのは、

出だしの「以和為貴 無忤為宗」の8文字。

本ブログでは、ここだけにスポットを当てて続けます。

 

※筆ペンで、さささと書いてみました↓

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かいつまんで言うと・・・

この漢文に送り仮名をつけると、「和を以て貴しと為し、忤うこと無きを宗と為よ。」

(わをもってとうとしとなし、さからうことなきをむねとせよ)と読みます。※他の読み方あり

 

要訳すると「人との和を何よりも大切にして、誰ともいさかいを起こさないように」となり、

もっとかいつまんで言うと、「みんな仲良くしようね!」です。

 

聖徳太子は兎にも角にも、十七条憲法において「和」の大切さを重んじました。

めちゃくちゃ当たり前なことを、あえて、真っ先に、伝えたかったのでしょう。

 

四天王寺を総本山とする宗派の名前も、天台宗から独立した昭和25年から「和宗」です。

聖徳太子の思いが、まさにこの「和」の一字にこめられている証と言えましょう。

 

 

「和」じゃなくって、ホントは「龢」

ここからは、今年の秋に四天王寺の今の住職さん(業界用語では管長猊下)から伺ったお話をもとに、

聖徳太子が「十七条憲法」に込めた思いに迫ります。

 

四天王寺に残されている「十七条憲法」の原本には、皆さん馴染みの漢字「和」ではなく、

異体字の「龢」が使われているのだとか。

 

※筆ペンで、ぱぱぱと書いてみました↓

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読み方はまったく同じ「わ(WA)」ですが、「龢」なんて見たことない漢字ですよね?

「禾(のぎ)」が左右入れ替わることなんてあるんかい!って思うのも仕方ありませんが、

「和」の部首って、実は昔から「口」のほうなんです。そんなことありますのね・・・。

 

左側の「龠」は笛の形がモチーフ

さて、漢字のお勉強です。

中国で生まれた漢字の成り立ちのほとんどが「象形文字」であり、

見たまんまの形を線で表して文字が生まれました。

 

では、「龢」を分解して考えてみると・・・

 

右側の「禾」は、穂を垂れるイネ科の植物で、穀物全般を意味します。

左側の「龠」はというと、これ単体で「ふえ」と読む通り、楽器の笛を表します。

 

こんな形の笛がどこにあんねん!とお思いでしょうが、数ある笛の種類の中でも、

民族楽器の「パンパイプ(別名:パンフルート、ナイ)」の形によく似ていると考えられます。

 

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なるほど。「龢」の左側に並ぶ「口口口」のあたりは、確かにそんな気がする・・・。

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一度にいくつもの音が出るパンパイプから連想すると、

聖徳太子が何よりも大切にせよとした「和」の意味が、より味わい深く理解できるのです

 

 

「和」を使った熟語から考えてみる

そろそろ、十七条憲法に記された「和」とはなんぞやの、核心に迫ります。

 

「和」を使った熟語の、和食・和服・和室・和歌などは言うまでもなく、「和=日本」の意味です。

これは、日本が「大和(やまと)」と呼ばれた古の時代の名残が、

文字の意味として受け継がれているためです。

 

和音の「和」って、What?

ではでは、音楽用語の「和音」はどうでしょうか?

意味は“日本の音”ではありません。

いくつもの音が重なること。いわゆる「ハーモニー」です。

一つひとつの音が生きていて、重なり合って、心地よい音になること。いわゆる「調べ」です。

 

足し算の答も漢字一字で「和」と言います。

もとの数字が生きていて、そのまま重なり合うから「和」と表現されます。

 

それから、料理の「和えもの」

これも一つひとつの食材が生きていて、味覚のハーモニーを生む調理法です。

ただの「混ぜもの」じゃないってことがポイントです。

 

 

仏教界のシンボリックな漢字「和」

聖徳太子が「十七条憲法」の第一条で、真っ先に“めっちゃ大事やぞ”と言った「龢」とは、

単純に皆の気持ちを一つにする、誰かの一存で一丸になるという意味ではないようです。

 

さきほどの意味から考えてみると・・・

 

① 色んな音が重なり合って素敵なハーモニーが生まれるように、一人ひとりの意見を生かしながら同じ方向を向いて、足並みを揃えましょう。

② 皆それぞれ違いはあるけれど、色んな立場や主張をのみ込み合って、ちょうどいい“中(なか)”“間(あいだ)”をとっていきましょう。

③ そんな風に調和して取り組むことができれば、豊かで実りある穀高(結果)が必ず得られるはずでしょう。

 

きっと聖徳太子は、理想とする国の姿、在るべき人と人とのつながりを思い描き、

「龢」の一字に①〜③のメッセージを込めたのではないでしょうか。

 

簡素化した「和」の文字が使われるようになった今でも、

聖徳太子の思いを端的に表す言葉として、平和や調和を重んじる「和」のこころは、

仏教界全体のシンボリックなものとなっています。

 

 

和の精神、和の文化をデザインに

ブログの処女作は、日本の偉人・聖徳太子、大阪随一の古刹・四天王寺をテーマに、

あれこれ述べさせていただきました。

 

聖徳太子の提唱から今日まで日本に根づく「和の精神」や「和の文化」は、

「お互いの違いを認め合い、生かし合うこと」と言い換えられます。

 

こんなにも話の長い、回りくどい、めんどくさい男を仲間に加えてくれた株式会社AND SPACE。

ここには、パンチの効いたサウスポーの代表を筆頭に、

ディレクター・デザイナー・コーダー・イラストレーター

コピーライター・システムエンジニア・バーテンダーらが、

それぞれの個性と強みを出し合い、意見をぶつけ合える環境があります。

(有り難いの一言)

色々いるから色々できる。引き出しがたくさんあるからこそのクリエイティブが叶います。

(分かったような一言)

 

ゼロからつくるいろーんな広告デザインに、AND SPACEならではの「和」で応える。

 

※ここで「ほほー、和風なデザインが得意なのかー」と思った人は、振り出しにもどる。

※ここで「やっぱ、こいつ、だいぶ、めんどくせー」と思った人は、あと1マスすすむ。

 

 

 

 

「本音も弱音も下心も 全部ぜーんぶ ぶつけあいたい」が合言葉の、広告デザインの会社。

 

そう、私たちは、「和ND SPACE」です。

 

以上。おあとがよろしいようで。

 

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2019年も「猪突独進」、仏教・寺社仏閣・伝統文化・歴史など、“古風”なテーマで書いて参る所存です。

 

橋田

この記事を書いた人

京都出身の渋みがすごい渋男。幼い頃から仏像や寺社の魅力にとりつかれ、子供ながらにお寺の写真集をおねだりするほど。物書きの原点は、大学時代に漫才コンビを組んだ際の台本づくり。その後、寺社仏閣専門誌を発行する会社に9年半勤務。仕事のモットーは、相手の立場と反応を考え、物事が誤解なく伝わるための気配りと言葉選び。座右の銘は「笑われるより笑かしたい」。幼少期から続ける野球は、早打ちの癖が抜けない。