皆様おはようございます、こんにちはBAR担当のmilkです。最近、「愛とはなんぞや?」と考えることが多くなりました。永遠のテーマなのかもしれません。それを考えたとき、高校生のときから大好きな彫刻の元になったお話を思い出したので、愛とは…と考えるとこがある方、ぜひ読んでみてくださいませ。
アモルの接吻で蘇るプシュケ
フランス、パリのルーヴル美術館に展示されている、アントニオ・カノーヴァの彫刻作品です。高校生のときに一目惚れしたのですが、いつ見ても美しいですね。現地で展示されている様子をブログ等で拝見したことがあるんですが、陽の光が刺して神々しく泣けてきたので、現地で見るなら午前中がいいかもしれないです。
横たわっているのがプシュケ、抱きしめているのがアモルです。今からご紹介するお話は、アプレイウスによる「黄金のロバ」に収録されています。この物語は古代ギリシャ・ローマ時代の文学が再評価された、ルネサンス期以降に芸術分野で盛んに取り上げられました。それでは、この二人の物語をシーンに合った絵画などと一緒にご紹介致します。
アモルとプシュケの物語
その国の女王の三女プシュケは、誰より美しいと噂になっていました。それを聞いた愛を司る神ヴィーナスは、自分の息子でありキューピッドであるアモルに、プシュケを恐ろしい怪物と恋に落ちるようにしなさいと命令します。命令されたアモルは、プシュケに矢を放とうとしましたが、誤って矢の先端で自分を傷つけてしまうのです。それによってアモルはプシュケに恋をしてしまいました。
暫くして、姉達より婚期の遅いプシュケを心配した王が、神託を伺いにプシュケをアポロンの神殿へ連れていきます。そこで娘の結婚相手は恐ろしい怪物であると知らせれ、神託通りプシュケを岩の上に置き去りにし帰ってしまいました。岩の上から吹き飛ばされたプシュケは、風に乗って遠くへと吹き飛ばされてしまいます。
プシュケがたどり着いた先は装飾品や宝石が綺羅びやかな宮殿でした。そこで、夜にしか現れず「絶対に顔を見てはいけないよ」という夫と名乗る人物と過ごすことになるのです。妹の不思議な話を聞いた姉たちに「夫が恐ろしい怪物でないか確認しなさい」と促され、ランプを用意し、寝ている夫の側へそっと近付き光で照らすと‥なんとそこに横たわっていたのは美しい少年、そう、アモルだったのです。約束を守れなかったプシュケにアモルは、「愛と疑いは同居できない」と落胆し家を飛び出してしまいます。
(Louis-Jean-François Lagrenée作)
取り残されたプシュケは、アモルの母であるヴィーナスのもとを訪ね、4つの試練を与えられることになります。いろんな人に助けられながらその4つの試練をこなしたプシュケは、最後の試練であった「美しさ」の入った箱を手に入れます。絶対に開けてはいけないと言われていましたが、自分の美の衰えにアモルの愛を失ってしまうのでは、と不安にかられ開けてしまいます。箱の中には冥府の眠りが入っており、プシュケは深い深い眠りについてしまうのです。
(ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「黄金の箱を開けるプシュケ」)
暫くして、お母さんの元を離れずっとプシュケを探していたアモルは、昏睡したように眠るプシュケを発見。彼女の体を持ち上げ、天界に連れて行きます。(私の好きな彫刻はこのシーン)
(ウィリアム・アドルフ・ブクロー作)(この絵大好き)
プシュケのしたことを天界のジュピターに謝罪し、永遠に結ばれることをお願いします。2人の絆に感動したジュピターはそれをOKし祝福します。そしてなんと、お祝いの場で不死の神酒アンブロジアを飲んだプシュケは神格化するのです。
二人の間にはpleasure(喜び、快楽)という子が生まれ、末永く幸せに過ごしました。めでたしめでたし。
読み取れることって?
「アモル(=エロス)と結ばれることを願ったプシュケ」は、「〈願望〉と結ばれる〈精神〉」の哲学的寓意だ、という風に読み取っている方をお見かけしました。ということは、自分の願望と結ばれた時生まれるのが、「愉楽(深い喜びを味わうこと、心から楽しむこと)」なんですよね。お話の中盤にあったプシュケがアモルの顔を見てしまい「愛と疑いは同居できない」と言われてしまうシーンから、「お互い疑う気持ちを持つことなく、心から相手を思いやり、自分の心に素直になる」ことで愛は生まれるのでしょうか?プシュケの、「美しくなければ嫌われるかも」って思う気持ち、現代にもありますよね、つらい。この物語が流行った当時は、「身分差に打ち勝つ二人」や「障害が多い二人の恋」にみんなキュンキュンしていたようですよ。
最後に。
愛の形はたくさんあれど、その根っこのような、芯というか、それはぶれないと思っているのでまだまだ「愛」について知っていきたいですね。
ちなみに、皆さんよくご存知であろうこの絵。こちらもアモルとプシュケがモデルになっているんですよ。知ってる絵画も調べてみると、アモルとプシュケがモデルになっているかもしれませんね。
(ウィリアム・アドルフ・ブクロー作(アムールとプシュケー、子供たち))(この絵大好きpart2)
ではまたお会いしましょう〜!
山田 早佑梨
この記事を書いた人パッと見は、「不思議の国」から飛び出してきたおバカキャラや、おませなギャルに見られがち。だけど本当は、誰かを支えることや誰かの役に立つことが上手な、目配り・気配り・心配りの国のアリス。その献身的な姿勢は、高校野球のマネージャー、メイドカフェ店員、下着メーカーの社長秘書、BAR AND SPACEのバーテンダーを経験してきたからこそ培われたもの。バーテンとして入社してから約3年。制作現場へコンバートした存在は、変わらずみんなのマスコットであり、結局カワイイもの全般に目がない、軟体あおによし。