Date: 2017/09/01

通院・入院生活での気づき①

こんにちは、AND SPACEのデザイン雑務要員、鈴木です。
私事ではありますが今年の6月、手術と入院をしました。娘ではなく私自身の手術です。
手術が決まるまでの計3回ほどの通院と、1週間の入院生活でした。

せっかくなので、今回はその際感じた事をまとめたいと思います。
前回の担当ブログの最後では、次回はモノの細かい名称をまとめてみたい〜と述べましたが、記憶の新しいうちに、通院から退院までの間に気づいたデザインの話を先にお伝えしたいと思います。
うまく落としこめるかは未知数ですが、したためてみます。

少し長くなりそうなので、数回に分けてまとめます。
デザイン的によかった点もそうでなかった点も、分け隔てなく書いていきたいと思います。
今回は気付き、その1です。

1. 古い病院の、新しい院内サイン

今回お世話になった病院は、鈴木が小学生の頃に心電図検診でひっかっかった際お世話になったことのある病院でした。記憶にある限りでも、ほどほどに「古い」病院です。
駐車場に自動精算機やバーはなく、おそらくシルバー人材派遣センターから派遣されたおじさん達が入り口に立って満車や空きを知らせてくれるタイプの病院です。

実際に通院・入院してみると、外観の古さによる不潔さや不安を感じる箇所は想像以上に少なく、それより印象に残ったのは、おそらく数年内に施工されたであろう、診察室や院内を案内する各サインのわかりやすさでした。
それは利用してすぐに感じました。

2. 箱にあったサイズの文字

サインは、派手で目立っていたから印象に残ったのではありません。
非常にシンプルでわかりやすかったため印象に残ったのです。

総合病院らしく色んな診療科目がエリアで分けられており、診療科目の通し番号と名前が大きく配置されていました。 更に、あればその下に少し細かい分類が表記してありました。「飾る」という要素が一切ない、紺ベタのサイン地に白文字(ゴシック体)だけのシンプルなものです。

念のための補足として、小見出しに使っている「箱」とは、建造物の俗語「箱物」の箱、「建物」の事です。

それらは最新のリニューアルという様子はなく、例えば手作りであろう受付内の書類仕切箱、油性マジックで直接色分けされた専用連絡用の受話器の様など、院内で節約が見て取れる箇所がいろいろとありました。
中でもサインだけがとかく目立ってわかりやすく、利用者の目線を大事に優先されている事にとても好感が持てました。
この場合に限り利用者とは、患者さんだけなくスタッフの方も指します。スタッフの入れ替わりも多いだろう病院で、わかりやすいサインはきっと新人の方も親切に感じることでしょう。

扉が開くと、角を曲がると、階段を上ると、エレベーターを出ると、その都度サインが目に入ります。 色・文字の大きさ・場所・内容の整理、すべてが最適に感じました。

3. 箱に合ったサイン・文字のサイズって?

正直、私自身は看板・サインを直接デザインした事はありません。
しかし看板やサインは人並みに見ていると思います。

そういった中で、邪魔にはならないが見ても頭に入らないもの、文字は大きいが補足が足りずわかりにくいもの等、意識的に見比べている方だと思います。

そもそも箱に合ったサイズと内容って?と、よくそういう視点で建物+サインを見ており、最近気づいた事がありました。
諸説あるとは思いますが、サイズについて。
それは紙もので使われる文字のジャンプ率に近い縮尺比が見やすいのでは?という気づきでした。

紙もので使われるジャンプ率と言いましたが、ここでいう適切なジャンプ率とはAND SPACEで言われるジャンプ率なので非常に直感的です。すみません。
簡単に説明すると、ジャンプ率とは、目立たせる必要のある文字とその他の文字との大きさの差・メリハリの事で、AND SPACEではそれを意識的に強めに効かせている思っていただけると幸いです。

サインの内容もそうあるべきだよなぁと、この通院で改めて思いました。
シンプルに、1番大きくないといけないものをまずは1番大きく、読みやすく。

サインの内容については、なかなか複雑で一言でお伝えできません。
箱の事情をヒアリングし、利用者の流れを分析して初めて適切な内容を出せると思っています。
しかしそれは考え方として、WEBのサイトマップを作るのに似ているのではないかと、そんな風に今は漠然と感じています。

4. そのサインの文字は、どこから見るの?

また、サインは「どこから読むか・読めるようにするか」が重要だと思います。
箱物であれば、分岐点、つまり先に述べた「扉が開く・角を曲がる・階段を上る・エレベーターを出る」など、視点が切り替わる場所から、そこから見えるサインが、まるで手元にあるわかりやすいフライヤーの文字くらいの大きさでないといけないと思うのです。
いや、思いました。

いけなくはないかもしれませんが、その大きさだと、まず人は「自分はどちらに行くべきか」を迷いません。
もちろん、行き先をわかっている事が大前提にはなりますが。

5. 最後に – わかりやすいサインは何故重要か?

人件費に直結すると言えば言い過ぎかもしれませんが、サインは最大のセルフサービスというか、案内人・ガイドの代わりになるものです。
ご老人も多く使う病院内の案内がわかりづらければ、その都度職員の方の手が取られる、もしくは、何故かわからないが利用者の流れが悪い、そういった事に繋がると思います。

わかりにくいサインが結果として、利用者とスタッフのコミュニケーションの何かしらのきっかけになる事があるかもしれませんが、それは決してわかりにくいサインがあっていいという理由には思えません。
なぜなら「わかりにくい」というストレスを元にしたコミュニケーションは、スタッフ側も利用する側もいい状態から始まらないはずだからです。

これまでに書いたブログ記事の内容と重複する箇所があるとは思いますが、その都度言わせていただきます。
AND SPACEは導線の分析や最適化・サイン表示デザインが得意な会社です。
何より、代表が整理整頓大好きです。デザインとは、整理ですから。

お困りの際はぜひ一度、AND SPACEにご相談ください。

手術が成功してやっと、酒焼け・タバコ焼けしたような声から普通の声に戻ってきた鈴木でした。
(声帯のう胞を取る手術をしました。)
次は、通院と入院生活での気づき2を書きたいと思います。