こんにちは、AND SPACE東京の飯澤です。
現在AND SPACE東京は鋭意人員増強中です。東京で一緒に働いてくれるメンバーを募集しているので、気になる方はぜひ、こちらのお問い合わせフォームからご連絡ください!
デザインと広告とビジネスが好きな方なら、人生の時間の一部を弊社にBETするのは悪くない手かと思いますし、今ご入社いただければ、仕事中のオヤツ代を2週間、僕の自費でおごります。2週間以降は僕のお財布とあなたの健康状態を見て、ご相談させてください。
さて、今回は弊社アンドスペースのロゴをリデザインいたしましたので、これらの意図とプロセスについてご紹介します。「ロゴ制作って結構制作費取られるけど、どんなことやってんねん?」と、思われている方や「デザイン大好き!もっといろんなやり方が知りたいっ!」と、思われている方のご参考になれば幸いです。
だいぶ長めですので、お暇な時にどうぞ!
目次
1.そもそも、なぜロゴを再デザインするのか?
領域拡大に伴うロゴのリフォーム
アンドスペースのお仕事はクライアントの皆さまのニーズに沿って、フレキシブルに事業領域を拡大してきました。
事業領域の拡大をする理由は、多くのクライアントの皆様の「やりたい」という気持ちに広くお応えするためという理由もありますが、僕たちが広告を作る上で実体験を通じて「ビジネスをより深く理解するため」でもあります。
そして、これらの拡大は現在、広告デザインの領域だけではなく、アパレル商品の開発・コスメ商品の開発・Webサービスの自社開発まで広がろうとしています。
“いろいろできる”の幅が広くなればなるほど、今までと同じビジュアル・アイデンティティのままでは、AND SPACEのこれからのカタチを受けとめきることができないという考えにいたり「今のAND SPACEのカタチから拡張する=ロゴのリフォームを行う」ということが、今回の再デザインをすることが決まった経緯です。
2.旧ロゴの見直し
今まで使用していた旧ロゴ
こちらが今まで使用していたアンドスペースのロゴ(以下:旧ロゴ)です。
この旧ロゴは2014年前後の社名変更に伴い、弊社の代表:谷川が社名案を数時間真面目に考えて100案ほど出した後、30分でデザインを制作したものです。
30分!僕たちは30分で作ったロゴを看板として背負ってきていたのです!クライアントのみな様のロゴデザインを精査に綿密に設計する我々の“看板”があまりにもアウトローに制作されているという、この事実を聞いた時に僕は声を出して笑ってしまいました。
細かい設計を確認
- シンボルマーク=【秀英明朝】をベースに制作
- ロゴタイプ=【ヘルベチカ(Helvetica)】をベースに制作
なんということでしょう!【秀英明朝】です!
デザインを制作する上でフォント選びは大変重要です。
そのデザイナーのフォント選びの基礎中の基礎として「英数記号には英語フォントを使用することを推奨する」というものがあります。
フォントはフォントデザイナーの方がていねいに設計を行い、美しく作られているため、どんなフォントであっても“ほとんどの場合フォント自体には問題がなく美しい”と言えます。
しかし、日本語フォントに入っている英数字は“日本語の文字と並んだ時に美しく見えること”を前提に設計されていることが多いため“英数字のデザインを作成する場合、英語フォントを使用する”ことが基本的にはデザイン制作の上で推奨されています。
すなわち、決して間違いではないとは言えるものの【&_】の記号部分に日本語フォントを使用し、デザイン会社のロゴとして掲げるというのはなかなかにアナーキーです。決して間違いでは無いんですけどね。若手デザイナーの方はあまりマネをしないで欲しい方法です。
3.再デザインする上での設計要件
ではここまでの事業拡大の経緯と旧ロゴのデザインを受けて今回立てた設計要件が以下です。
【設計要件1】
事業拡大に合わせて男っぽさのある印象をより“中性的”にする
【設計要件2】
匿名性の高いスタンダードな印象を与える既存の“いいところ”を継承する
【設計要件3】
社内外の認知度を考慮して、全体の印象まで大きく変えない
1.男っぽさのある印象をより“中性的”にする
旧ロゴは特に太いゴシック体のロゴタイプの印象によって力強く男性的な印象が強いロゴに仕上がっています。
しかし、前述にある通りアパレル/コスメ商品開発等の事業拡大において、女性を対象にした商品やサービスにロゴを使用する場合、ロゴのデザインが邪魔をしてしまう恐れを考慮し、より中性的な印象にブラッシュアップする必要があります。
2.匿名性の高いスタンダードな印象を与える既存の“いいところ”を継承する
旧ロゴは【秀英明朝】と【ヘルベチカ】というスタンダードなフォントをベースに、華美なデザインを施さないシンプルなデザインです。
これらの匿名性の高い“無個性な印象”は、多種多様なクライアント様を主役としてデザインを提供する広告デザイン制作会社という立場として正しい姿だと考えられます。
また、派手でキラキラしたデザイン・ポップでワクワクするデザイン・しっかりとした安心感のあるデザイン…等々、多種多様なデザインを制作する僕たちの仕事において、無個性なロゴマークは“お客様に必要以上の先入観を与えない”というメリットもあります。
これらの“いいところ”は引き続き継承する必要があります。
3.社内外の認知度を考慮して、全体の印象まで大きく変えない
今回の目的はあくまでも事業拡大に合わせたリフォームであり、ここまでやっと信頼関係を築いて来たお客様に「違う会社になってしまう」という印象を与えるのは本意ではありません。
よって今回の再デザインでは、せっかく浸透してきた認知度を捨てるほどの変更は悪手と考え「旧ロゴの印象を残す」必要があります。
要件まとめ
これらの要件をまとめると
「今までのアンドスペースを知っているお客様には違和感なく、これからの事業展開にも耐えられるロゴの再デザインを行う」
と、いうことが今回主だった再デザインの方向性です。
4.ロゴタイプの検討
上述した要件をふまえ、まずはロゴタイプ(“ANDSPACE”の文字)のデザインから作成をはじめました。
今回の再デザインでは、文字を一からデザインするのではなく、既存のフォントをベースにしてロゴタイプを作成しました。
これは【設計要件2】にもあるように「スタンダードで匿名性の高いロゴ」を目指すためです。
旧ロゴで使用されている【ヘルベチカ】は英語フォントの中でも王道中の王道フォント。アップル社をはじめとした世界中の大手企業にも使用され愛されてきたということでも有名なフォントです。
このヘルベチカが作っているスタンダードな印象を活かしたいところではありますが、少し力強すぎて男性的な印象になってしまっていることが今回のネックです。
ヘルベチカと同じく多くの人の目に馴染みがあり、スタンダードな印象でありながら、より中性的な印象になりえるフォントを選定します。
各フォントをラフにデザインしながら再検討
上に添付している画像の“A”の部分を斜めにする等の新たなアイデアを試したりなど、各フォントをラフにデザイン調整し、大まかな方向を検討していきます。
一見すると、Aを傾かせることによってより個性的な雰囲気が出てロゴらしい印象もあり「こっちの方がスキ!」という方もいるかもしれませんが、設計要件と照らした時に「強すぎる個性は不要」ということを考慮し、どんどんアイデアを出し、どんどんボツにしていくことで、設計要件に合うフォントを絞り込んでいきます。
ギル・サンをベースにデザインを調整
最終的に、匿名性を維持しつつ、中性的な印象へと進化させるために今回ベースとなるフォントとして「ギル・サン」を選びました。
ちなみに「ギル・サン」は1930年前後にイギリスの地下鉄に使用されているフォントをベースにして彫刻家のエリック・ギルさんが作ったフォントです。
フォントは文章として構成したときに、前後にどんな文字が並んでも可読性を損なわないように作成されています。ロゴとしてフォントを使用する場合「AND SPACE」の並びで最も美しく見えるようにデザイン上の調整を行います。
カクカクとして記号的な印象の中にもゆったりとした余白によって、中性的な印象を作ることができるためギル・サンを選定しましたが、“記号的な形態が旧ロゴよりも特徴的な印象を作ってしまっている”というデメリットもあるので、問題となる部分を合わせてブラッシュアップしていきます。
5.シンボルマークの検討
ロゴタイプと同様に様々なフォントで検証
シンボルマークもまた、様々なフォントで検証を行いました。最初に設定した設計要件と照らし合わせての細かい作業に関しては「ロゴタイプの検討」の項目と近しい内容ですので、ここでは割愛いたします。とうとう、秀英明朝を利用したアナーキースタイルともお別れのときです。
シンボルマークの「スペース」部分の検討
ANDSPACEのシンボルマークには「アンダーバー」で表現されたスペースが入っています。
このスペース部分は弊社のロゴとして特徴的な部分の1つなので今回の設計要件上、基本的に変えるべきではない要素ですが、大きく変えるべきか?変えないべきか?を念の為再度検討するために思いつく限り可能性を検討していきます。
これらの多数の検討の結果「匿名性」と「社内外での認知」を考慮し、大きな変化を与えずに旧ロゴの印象になるべく近づけながらブラッシュアップした以下の構成のデザインに決定しました。
ここまでの検討と調整をうけて、ここから最終調整の段階に入ります。
6.黄金比・白銀比を使った調整
弊社では最終的なロゴの調整によるクオリティアップを大切にしています。
ロゴの細かい調整を行う理由は
【理由1】
長期的に使用されることを考慮する必要がある
【理由2】
名刺などの小さなものからビル看板などの大きなものまで使用されるサイズ範囲が非常に広い
【理由3】
企業活動においての使用頻度が高く、エンドユーザーの目に触れる回数が必然的に高く企業のクオリティに関わる
【理由4】
実際に使う社員のモチベーションに関わる(荒かったら皆さんテンションが下がってしまいます)
上記の理由を主としてロゴの細部へのクオリティを重要なものと考えています。
そこでアンドスペースではロゴの調整を行う方法の1つとして黄金比/白銀比を用いて細部調整を行う方法を、必要に応じて手法の1つとして使用しています。
黄金比/白銀比とは
黄金比/白銀比は、自然界に存在する比率として紀元前450年前に発見され、20世紀初頭から美術の世界でも使用されるようになったと言われています。ダヴィンチの絵画や北斎の浮世絵、Apple社のリンゴマーク、法隆寺の設計等にもこれらの比率と同一の箇所が多数見られるという話が有名です。
気になった方は調べてみるとたくさん出てきますので良かったらお調べください。
黄金比/白銀比を用いて細かいディティールを調整
今回のロゴでは“&”のマークの曲線や、アンダーバーと&の比率、シンボルマークとロゴタイプを合わせた時のバランスなどを黄金比/白銀比に当てはめて調整することでより安定感のある美しいロゴになるよう調整を行っていきました。
7.完成と比較
各調整を終え、完成した新しいロゴこちらです。
いかがでしょう?
「おお、ちがう!」と思う方もいると思いますが
「…あんまり変わらないな?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
もしも、並べてみても「たしかに変わっているけど、そんなに大差ないなー」と思っていただける部分があれば、ある種今回の再デザインは成功です。
なぜなら
今までのアンドスペースを知っているお客様には違和感なく
これからの事業展開にも耐えられるロゴの再デザインを行う
という要件を達成することだからです。
さて、とても長い説明でしたがいかがだったでしょうか?
もしも
・今までの事業を拡大して再デザインしたい!
・新しいことを始めるロゴを作りたい!
という方がいらっしゃいましたら
ぜひ、アンドスペースにこちらのご相談ください。
※実際のお仕事のときには細かく面倒な部分は弊社で静かにやっておきますのでご安心を!
ご相談の際には、こちらのお問い合わせフォームにてご連絡ください!
最後までご覧いただきありがとうございました。